この課題図を作図するときのポイントについて説明します。
※練習問題課題図の番号は、建築CAD検定試験の開催回数とは無関係の通し番号です。
120DB 壁と窓
※この課題図の参考図と完成図は、2025年度版過去問題集に掲載されています。
参考図を見ながら作図し、図のような完成図に仕上がりました。

この完成図は、個人的に作図したものです。そのため、必ずしも完璧な100点満点の解答ではない能性があることをご了承ください。まなお、著作権などの関係により、参考図の掲載は控えさせていただいております。正式な参考図や完成図については、公式の過去問題集や公式ガイドブックをご確認いただければと思います。
AutoCADでの作図手順
この記事では、AutoCADで壁芯・壁・窓を描く手順を、初心者でもわかるようにやさしく説明していきます。
「構築線ってなに?」「窓の角度ってどう合わせるの?」といった疑問も、この記事を読めばスッキリしますよ!
- 壁芯を一点鎖線で描く
- 壁を作図する
- 窓を作図する
作図のコツ・ポイント
壁芯を描くときは…
→ 今回は「構築線(XLINE)」を使って作図します。構築線は、どこまでも伸びる直線で、目安となる線として便利です。
壁を描くときは…
→ 「マルチライン(MLINE)」が使えると、壁を一気に描けるので時短になります。慣れていない場合は、オフセットでも大丈夫!
窓を描くときは…
→ 傾いた壁芯に合わせて、傾いた長方形を使って作図します。
角の部分を仕上げるときは…
→ 「フィレット(FILLET)」コマンドを使って、半径 R=0 に設定し、角をきれいにそろえます。
では、詳しく説明していきましょう
作図の流れ(詳しく解説)
①壁芯を描く(構築線+一点鎖線)
まずは、壁芯(建物の基本の線)を作図します。
この作業が図面の基準になるので、慎重に行いましょう。
- 「構築線(XLINE)」コマンドを使って、必要な線を描きます。
- 描く前に、構築線専用の画層を作っておくと、あとで整理しやすくなります。

✔ ワンポイント!
- 今回の図面のように角度寸法が書かれていない場合は、図面に記載されているX方向・Y方向の寸法を見て、角度のついた線を描いていきます。
- オブジェクトスナップの設定で「交点」以外(たとえば「近接点」など)が有効になっていると、間違った位置にスナップしてしまうことがあります。
→ 必ず「交点」に正しくスナップして、ズレのない壁芯を描いてください。
構築線コマンド(xline)は、作成グループにあります。

オプションで、水平、垂直、角度など、必要な設定をしましょう。

②壁を描く(マルチライン)

壁の作図には、マルチライン(MLINE)コマンドを使います。
これは、複数の線を同時に描ける便利なツールです。
作図前に確認する設定:
- S(Scale/尺度) → 壁の厚みを入力します。
- J(Justification/位置合わせ) → 中心・内側・外側のどこを基準にするか選びます。
作図後、必要に応じて:
- **「延長(EXTEND)」や「フィレット(FILLET)」**で線をつなげます。
- ※ 「分解(EXPLODE)」しないとフィレットが使えないので注意!
✔ マルチラインに慣れていない方へ
最初は少し難しいと感じるかもしれません。その場合は、「オフセット(OFFSET)」コマンドで1本ずつ描いてもOKです!
③窓を描く
窓の作図手順:
次に、窓の枠を描いていきます。
図面を見ると、窓は傾いた壁に沿って斜めになっています。
- 長方形(RECTANGLE)コマンドで、窓の枠を描きます。
→ 最初は壁の内側に収まる位置で描いてOK! - 斜め方向に沿って移動させます。
→ 壁の線にピッタリそわせるには、マウスをその方向に動かし、距離をキーボードで入力する方法が確実です。 - 短辺から線を伸ばして、反対側の枠を描きます。
- 窓の障子や水切り部分も同様に長方形で描き、**複写(COPY)→ 不要部分をトリム(TRIM)**します。
- 最後に、**角はフィレット(R=0)**で処理して、角をきれいにそろえます。
①

②

③



④


必要な線分を作図し、反対側も同様に作図します。
⑤

※角度のついた長方形の描き方がよくわからない場合はこちらの動画で確認できます
仕上げの確認ポイント
不要な線は残っていませんか?
→ 構築線の画層は「フリーズ(表示OFF)」にすると安心です。
線のズレや寸法ミスはありませんか?
→ 最後に図面全体を見渡して、チェックしましょう!
おわりに
壁芯、壁、窓の作図は、AutoCADを使いこなすうえでの基本です。
最初は難しく感じるかもしれませんが、何度か繰り返すことで、自然と慣れていきます。
「文章だけじゃちょっとイメージしにくいな…」という方は、解説動画も参考にしてみてくださいね!
118B練習課題図について
ここで紹介した過去問題は、2025年度版建築CAD検定試験公式過去問題集に掲載されている3級問題の参考図・完成図で練習することができます。
今回紹介した図面は、残念ながら2025年度版建築CAD検定試験公式ガイドブックに掲載されていませんが、類似問題もたくさんありますのでぜひチェックしてみてください。